959 (1986)
1986 Paris-Dakar Rally


1983年にプロトタイプが発表された 959は、世界ラリー選手権(WRC)及び世界耐久選手権(WEC) のグループBカテゴリー制覇を目標として開発されましたが、車両の完成前にグループBカテゴリー自体が消滅してしまったため、ポルシェは 959の活躍の場をパリ・ダカール・ラリーに求めました。1985年、3台の 959がパリ・ダカール・ラリーに参戦しましたが、不運なクラッシュ等により全車リタイヤに終わりました。959の市販を目前に控えた翌 1986年、ポルシェは新たに製作した3台の 959を万全の態勢でラリーに投入し、Rene Metge、 Dominic Lemoyne組みの#186の車両が優勝、Jacky Ickx らのドライブする#185の車両が2位、チーフ・メカニックが乗車し、実質的にサポート・カーとして出場した#187の車両も6位に入賞するという快挙を成し遂げています。

ケブラー樹脂とアルミ合金で構成され、元々軽量に作られている 959ですが、レースに不要な電子制御式車高調整機能やABSを取り去ることで、 959スポーツよりさらに100Kgも軽く仕上げられたパリ・ダカール・ラリー用の 959は、450馬力の2.8リッターのツイン・ターボ・エンジンにより、サハラ砂漠をなんと240km/hで駆け抜けることができました。959のラリー仕様は計6台が製造されましたが、85年のパリ・ダカール・ラリーに参戦しリタイヤした車両のうちの1台が同年のファラオ・ラリーでは優勝を記録しており、959はポルシェが作ったラリー車では最も成功したモデルのひとつとなりました。


この作品はグンゼ産業(Gunze) 1/24のプラキットを改造したものです。959ラリー仕様のスケール・モデルとしては唯一と思われるグンゼのキットは 1985年のパリ・ダカール・ラリー出場車をモデル化していますが、タミヤの 959からエンジン、ブレーキ、サスペンションなど利用できそうな部品を流用し、ボディ、シャーシ、内装とも徹底的に手を加え、塗装と自作デカールにより、1986年のパリダカ優勝車両に仕上げてみました。1986年のパリ・ダカール・ラリーでは、この冒険ラリーの発案者で主催者でもある Thierry Sabine 氏が、競技視察中のヘリコプター墜落により亡くなるという、痛ましい事故があり、ラリーの中止が検討されましたが、レースの継続こそが彼の遺志を継ぐことと信じる参加者たちの熱い思いに支えられ、競技は最終日まで続行されました。パリをスタートした 486台のうち 21日後にダカールの地に辿り着くことができた車両が僅か 127台であったことからも、このラリーの過酷さを想像することができます。